改善しようとがんばっている経営者がハマる罠
介護経営を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。
令和6年度には医療保険とあわせて介護保険制度も改正されますので、大きな転換期となることが予想されます。
制度改正だけではなく、経営やマネジメントについても積極的に知識を取り入れられている経営者の方は、業務改善、経営改善なども様々な対策を実施されていることでしょう。
しかし、「いろいろと対策を打っているのにも関わらず、思ったような成果が出ない」という事が多いのではないでしょうか?
当社が厚生労働省関連事業や自社サービスを通して経営者の方とお会いすると、以下のようなお悩みが多く聞かれます。
経営サイドが準備した改善活動を実施するのではなく、
現場の課題を見える化し、改善内容を現場スタッフ自身が考え決めることで、改善の成功確率は驚くほど高まります。
そして現場スタッフに主体性が生まれ、現場が改善され続ければ、経営が好循環へと進みやすくなります。
次章以降で理由や方法などを詳しく解説いたします。
やり方の間違い:改善活動から着手してしまう
こちらの図はTRAPEが考える「成功する改善活動のステップ」です。
成功の秘訣は「準備8割」です。
改善活動を行う前に、経営者と現場スタッフがしっかりと準備を行わなければなりませんが、
この方法を知らない方がほとんどで、いきなり④の改善活動から取り組んでしまうため、
なかなかうまく行きません。
改善活動に対してスタッフが受け身であると、やらされている感がありスタッフの主体性は生まれにくいでしょう。
一見遠回りに見えてしまいますが、①〜③の準備に現場スタッフも参画し、
スタッフ同士が意見交換しその内容が計画に反映されることで、
改善活動がスタッフの自分ごと化し、主体性が高まります。
成功する改善活動は「準備が8割」
では具体的な準備方法についてご紹介いたします。
詳細をご覧になりたい方は厚生労働省 2023介護事業所向け生産性向上ビギナーセミナーにて
当社の資料が配布されておりますので、厚生労働省のホームページからダウンロードしてご参照ください。
当社代表の鎌田 大啓は介護サービス事業の生産性向上に関する厚生労働省事業に
2017年の黎明期より参画しており、実際の現場で得た知見をもとにセミナーやサービス提供を行っております。
代表 鎌田大啓の詳しい経歴を見る
ビギナーセミナー2023 登壇の様子
- 大阪大学 医学部保健学科 医学系研究科 招聘教員
- 令和3年度 厚労省老健事業 「介護現場(在宅系サービス)における持続的な生産性向上の取組を支援・拡大する調査研究事業一式」における調査検討委員会 委員
- 令和3年度 厚労省老健事業 「介護予防・日常生活支援総合事業等の実施プロセスに関する調査研究事業」委員会 委員
これまでの経歴
- 平成29年度内閣府・厚労省「介護サービス事業における生産性向上に向けた調査事業」作業部会 委員
- 平成30年度厚労省「介護サービス事業における生産性向上に向けた調査事業」委員、事業所専攻委員会委員、試行的ガイドライン委員会 委員
- 令和元年度 厚労省「介護施設等における生産性向上に資するパイロット事業」熊本県でのパイロット事業一式を受託し、ガイドラインの改定版作成に携わる
- 平成30年度・令和元年度 厚労省老健事業 「ケアマネジメントの公正中立性を確保するための取組や質に関する指標のあり方に関する調査研究事業」 作業部会 委員
- 平成30年度・令和元年度 厚労省老健事業「先進国における高齢者の介護予防に資する自助又は互助も含めたサービスの仕組みに関する調査研究事業」 委員
- 令和元年度 厚労省老健事業 「地域ケア会議に関する総合的なあり方検討のための調査研究事業」 作業部会委員
- 令和2年度 厚労省老健事業 「介護現場における持続的な生産性向上の取組みを支援する調査研究事業」調査検討委員会 委員
- 医療法人俊和会 さつき通所リハビリセンター センター長
(通所リハビリ、訪問看護ステーション、ケアプランセンターの経営) - 吹田市 介護保険事業者連絡会 訪問看護・リハビリ・入浴部会 部会長
- 吹田市 介護保険事業者連絡会 会長
- 吹田市 認知症初期集中支援チーム設置委員会 副委員長
- 北大阪健康医療都市 吹田市高齢者向けウェルネス住宅企画検討会 委員
- 平成29年度 内閣府・厚労省「介護サービス事業における生産性向上に向けた調査事業」作業部会 委員
- 平成29年度 老人保健健康増進等事業「先進国における高齢者の介護予防に資する自助又は互助も含めたサービスの仕組みに関する調査研究事業」委員
- 一般社団法人大阪府作業療法士会 作業療法推進活動部門 代表
- 一般社団法人大阪府作業療法士会 地域包括ケアシステムプロジェクトチーム 広域アドバイザー
- 寝屋川市 総合事業アドバイザー
- 豊中市 介護予防ケアマネジメント強化アドバイザー
- 大阪ええまち塾(大阪府生活支援コーディネーター育成事業)塾長
- 大阪府 介護予防活動普及展開事業アドバイザー
- 大阪府作業療法士連盟 幹事
①改善活動プロジェクト準備をしよう
ステップ | 詳細 | ポイント |
---|---|---|
経営者が今後の経営と向き合う | ・経営戦略上の取組み優先順位を⾼く設定する | 経営者はどうして今、取組みを⾏うのかについて今後の経営戦略と絡めて整理してみる |
プロジェクトを⽴ち上げる | ・プロジェクトとして取り組む ・プロジェクトには経営者もコミットメントする ・いつからいつまで取り組むのか、期間を明確にする | 経営者のコミットメントが成功のポイント |
取組範囲を決める | ・最初の取組みを、法⼈内のどの事業所・フロア・ユニットから始めるか、活動範囲を決める | 1ユニット、1フロア、1事業所など ⼩さく始める |
プロジェクトリーダーを選ぶ | ・取組みユニット・フロア・事業所において変⾰に対する意欲のある職員を選定する | プロジェクトリーダー=変⾰⼈材 |
⽬的を共有するキックオフ | • 経営者から、どうして今回法⼈・事業所において⽣産性向上の取組みを⾏うのか全職員に対して⽬的と内容を説明し、協⼒・サポートをお願いする | 繰り返し伝える |
②現場の課題を見える化しよう
ステップ | 詳細 | ポイント |
---|---|---|
課題を多く出す | ・現場が感じている課題、⽣の声をどんどん出す ・何気なく思っていることも⾔葉にすることが⼤事 | 現場をよりよくするための取組みなので、現場からの声が重要 |
因果関係をつなげる | ・現場から出た声同⼠の原因と結果の関係性をつなげていき、現場の「今」の全体像を⾒える化する ・作った因果関係図をもとに現場で対話を深める | 対話と気づきが重要 |
課題の絞り込み | ・因果関係図のうち「ループ」や「集中」に着⽬ ・表⾯的な課題や悪影響でなく、それらの原因を選ぶ ・取り組めそうなところから選ぶ | 対話を重ね、改善イメージを膨らませる |
データで課題検証 | ・⾃分たちが主観的に絞り込んだ課題に対して客観的に(データで)⾃分たちの課題と向き合い「本当に解決すべき課題かどうか」を確かめる | 取組み前後でも実施する |
③実行計画を立てよう
ステップ | 詳細 | ポイント |
---|---|---|
改善後をイメージ | ・「この課題を改善して、こんな状態にしたい」としっかりイメージして改善⽬標として⾔葉にする ・「このストーリーどう︖」と現場職員と対話 | 改善活動を⾏うことが⽬的となってしまわないように、⾃分たちの真の⽬的を意識する |
⽬標を段階づけ | ・利⽤者ケアプランの構成と同じように⼤きな⽬標達成に向け、いくつかの⼯程に段階分け ・できるだけ細かくした⼯程ごとに具体的に書く | 細かい⼯程にしておくことで、アジャイルな取組みを⾏いやすくなる |
アクションを決める | ・各⼯程を進めるための具体的⾏動を決める ・「明⽇から私はこれを、こうやる」とイメージが頭に湧くまで具体的な⾔葉にして書いてみる | イメージできることはアクションしやすい |
担当と⽇付を決める | ・アクションに応じた役割分担を現場職員と決める ・いつから始めて、いつ成果を確認するのか、週ごとなど具体的な⽇付を計画に⼊れる | チームみんなで取り組む |
現場が価値を生むと経営が好循環にまわり出す
理想の好循環を生む介護事業所の経営とは?
まずは、理想の好循環を生む介護事業所の経営について説明します。
- 法人の理念が浸透しており、組織運営の仕組みも構築されている
- 現場では生産性の高いオペレーションがあり、リーダーが自律している
- 職員・スタッフが働きがいを持って仕事をしている
- 質の高いケア、地域づくりへの貢献、そして高い収益性が得られる
- 収益の一部を現場へ再投資し、さらに現場が良くなる
- これらがブランディングとなり、採用が強化される
現場は価値を生み出す源泉
『質の高い良いケア』『良い地域づくり』『高い収益性』『口コミを通して良い人材の獲得』を得るための魔法の杖はなく、
結果=価値を生み出す源泉は手法や制度でもなく、
『現場』にあるということを再認識しなければなりません。
『現場』なくして『質の高いケア』はありませんし、『現場』なくして『高い収益性』は確立できません。
採用も地域づくりも同様です。
結果=価値を生み出していくためには、まずその源泉である『現場』から向き合い、強化・改善していく必要があります。
つまり、業務改善の成功こそが、介護事業所経営を好循環へと導くのです。
成功する業務改善の始め方
経営者の方や事業所の状況に合わせ、以下3つのパターンを提案します。
1. セミナー資料をみて取り掛かかる
前章でも触れておりますが、厚生労働省 2023介護事業所向け生産性向上ビギナーセミナーにて
当社の資料が配布されておりますので、そこに業務改善の手法は記されております。
業務改善を成功裏に進めるためには、以下のポイントが重要です。
- 経営者が率先してこの取り組みについて職員に伝える
- 経営者はプロジェクトリーダーが途中で迷子にならないように伴走支援を実施する
- 経営者は取り組みを行う環境づくりを行う
このようなイメージを膨らませ、セミナー資料をご確認いただき1つ1つトライしてください。
2. 介護経営者コミュニティに参加して情報を収集する
「成功する業務改善の手法はわかったが、もっと別の良い方法がないか比較検討したい」
「もっとじっくり考えたい」
「介護経営者同士で意見交換する場が欲しい」
という方には、当社の介護経営者クラブをおすすめします。
これからの介護経営者は厚生労働省の通達をそのまま伝えるのではなく、
問いを立て、自ら考え、自らの言葉でスタッフに語りかけなければ、
経営をうまく進めることは難しいでしょう。
介護経営者クラブは、他の経営者の考え方など幅広い視点を体験することができ、TRAPEからの投げかけに対して
Think(考え)→Action(行動し)→Learn(学ぶ)することで、経営者自身が変革できるようサービスを運営しています。
3. TRAPEの業務改善サービスを利用する
「業務改善をやりたいが、経営者自身に余裕がないためサポートして欲しい」
「好循環の経営に向けて、すぐにでも業務改善に着手したい。確実に成功させたいので有料サービスを利用したい」
とご要望の方には、当社のSociwellをおすすめします。
これまで数々の介護事業所で業務改善を成功裏に導いてきた
経験豊富なカスタマーサクセススタッフがおりますので、
現場スタッフが業務改善を進める中で様々な壁に当たった時でも力強くサポートすることが可能です。
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