前回の記事では「介護現場の業務改善、経営改善がうまくいかない理由 『やっているのに成果がでない』は”やり方”が間違っていませんか?」と題して、「成功する改善活動のステップ」について解説しました。
介護現場の業務改善、経営改善がうまくいかない理由 「やっているのに成果がでない」は”やり方”が間違っていませんか?
その記事にて、「現場が価値を生むと、経営が好循環にまわりだす」とお伝えしております。
今回は「好循環を生む介護事業所経営の戦略」について、詳しく解説いたします。
悪循環が起きている介護事業所でよくある問題
介護事業所経営者の方は、このような問題を抱えていませんか?
スタッフが採用できない、定着しない
業務が忙しく、現場に余力がない、LIFEは業務負荷 加算取得ができない
リーダーが育たない、スタッフに主体性がない
ケア品質が高くない
利益が少ない、または赤字経営に陥っている
悪循環に陥ってしまった介護事業所経営
悪循環に陥ってしまった介護経営所経営を図式化したものがこちらです。
問題がさらに問題を生み出し、時間が経つに連れてより悪い方向へと進んでしまいます。
経営の土台
- 理念/ビジョンが浸透していない
- 組織運営が仕組み化できていない
介護現場
- マネジメントができていない
- ICT/ロボットが活用できていない
- 他律的なミドルリーダー
- 現場に主体性がなく働きがいが低い
- 業務が忙しく現場に余力がない
- 日々こなすことで精一杯
- LIFEは業務負荷 加算取得はできない
事業所活動の結果
- ケアの品質が高くない
- 地域づくりの余裕なし
- 経営収支よくない
- 離職
- 人が来ない
- 採用できない
- 定着しない
好循環を生む介護事業所経営
悪循環に対して、好循環を生む介護事業所経営を図式化したものがこちらです。
まず、現場に余裕があり生産性が高く、結果として収益が生み出されます。
その収益が人材や現場への投資に繋がるため、更に良い方向へと進んで行きます。
経営の土台
- 理念/ビジョンが浸透している
- 組織運営が仕組み化されている
介護現場
- マネジメントが機能している
- ICT/ロボットが効果的に活用できている
- 自律的なミドルリーダーが活躍している
- 現場に主体性があり、働きがいが高い
- 業務が効率化されており、現場に余力がある
- クリエイティブな活動を行っている
- LIFEを効率的に運用できている(=加算取得)
事業所活動の結果
- 品質の高いケアを実施している(自立支援)
- 地域づくりへの高い貢献ができている
- 高い収益性
- 応募が来る
- 人が採用できる
経営者が手に入れたい結果は「現場」が生み出す結果
前回の記事でもお伝えしておりますが、経営者が手に入れたい以下のような結果はすべて「現場」が生み出す結果に他なりません。
- 品質の高いケアを実施している(自立支援)
- 地域づくりへの高い貢献ができている
- 高い収益性
- 応募が来る、人が採用できる
生産性の高い現場を実現するには、現場のひと・業務・文化と向き合い、業務の引き算から始める必要があります。
戦略の本質は「引き算」にある
戦略の「略」は「大事なところだけ残して他をのぞき去ること(岩波国語辞典 第7版)」という意味であり、戦略の本質は「引き算」にあります。
良い引き算とは?
- 関係者(自分たち/利用者/家族/地域/事業所)に新たな価値を生み出す
悪い引き算とは?
- 単にやることを減らしただけ(省略しただけ)で、関係者に新たな価値を生み出さない
成功の要諦は「軸」と「土台」にあり
引き算で新たな価値を生み出すための成功法則は以下3点です。
1. ぶれない軸がある
経営者が明確な理念/ビジョン/ミッションなどの方向性を示し、スタッフに情熱を込めて共有する。
2. 盤石な土台がある
ひとづくり、状況に応じた業務オペレーションの変革、組織カルチャーづくりを行う。
3. 自律人材がクリエイティブに生み出す
1と2が掛け算されることで、新たな価値が生み出される。
さいごに
引き算は、「新しい価値を生み出すため」に行うものであり、「守り」ではなく「攻め」の姿勢です。
引き算はあたり前で非常に簡単なように考えがちですが、
成果を生み出すための引き算のプロセス、実はTry&Errorの連続なんです。
ぜひ、簡単なようで実は奥深い「新たな価値を生む引き算」に取り組んでくんでいただき
好循環の介護事業所経営を実現してください。