「孤独」を国の課題と捉えたイギリス
2018年イギリスのテリーザ・メイ首相は孤独担当大臣のポストを新設すると発表。この中で、メイ首相は「多くの人々にとって、孤独は現代の生活の悲しい現実です。私はその現実に立ち向かい、我々の社会や高齢者や介護者、愛する人を失った人々ーそして自分の考えや体験を話したり分かち合う相手のいない人の孤独に対して、行動を起こしていきたい。」と語った。
イギリスのボランティア団体であるAge UKによると、高齢者の140万人は孤独に苦しんでいるという。そしてその中の22万人は、誰にも話さずに一週間を過ごすことがよくあるという。
Donate Your Words(あなたの言葉を寄付しよう)
この問題への認知向上や対応を目指して、Cadbury Dairy Milk 社は昨年、Age UKと共同でDonate Your Words(あなたの言葉を寄付しよう)キャンペーンを立ち上げました。この取り組みに協力を申し出たのが、デビッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウド、香川真司なども在籍していた日本でも馴染みのある世界的なサッカークラブの1つである「マンチェスターユナイテッド」。
マンチェスターユナイテッドは、イギリス各地のAge UKから11名の高齢者をプレミアリーグの試合に招待しました。招待された高齢者は、試合開始前に75,000人の観客が集まる中でピッチに上がり、選手やマネージャーから挨拶を受けたほか、試合時間の前後でも選手たちと語り合うという交流を持てたそうです。
選手の言葉
この取り組みの中で、ゴールキーパーのLee Grantは、「通りや郵便局で誰かを追い越す際に、自分たちがその人の方に向きを変えることで、その方の様子を知ることができる」などと語っています。つまり、わたしたちの日々の小さなAction次第なのだということです。
また、Brandon Williamsの「ほんの少しの言葉で高齢者に今までと違うLIFEをもたらすことができる」という言葉。これは非常に本質的です。高齢者の抱えている「孤独」はおおげさなことが必要なのでなく「誰かと每日挨拶ができる」「誰かとたわいもない日常の会話ができる」「誰かと愚痴が言えあえる」などの些細なことなんですね。
マンチェスターユナイテッドが生み出した新たな価値
今回、マンチェスターユナイテッドにかつて所属していた選手、現役選手ともにこのキャンペーンに参加したようです。地域のファンにとっては選手と会話できることがそもそもwell-beingがアップすることにつながりますね。実際動画では孤独について語っていた高齢者の方々の表情が大きく変化しているのが見てとれます。サッカークラブ、選手が地域のファンに提供している大きなstrengthの1つだということなのでしょう。
マンチェスターユナイテッドの選手たちが孤独な高齢者に提供したのは「会話」。
地域に根ざしているサッカークラブだからこそ、そこに住んでいる方々のwell-beingのために、クラブとして、選手として向き合う。well-beingを阻害する大敵が「孤独」なのでこのようなキャンペーンを通じて今自分たちにできることを実践したわけです。
日本でも取り組めること
日本においても「高齢者の孤独」「介護予防」「地域づくり」は1つのstoryとしてトピックとなっており、さまざまな取り組みが試行錯誤されており、イギリス事例に学ぶところは大きいです。
今回の取り組みは、マンチェスターユナイテッドの選手だからできたことではありません。
ポイントは、「高齢者の孤独のカイゼンは日常の些細なことである」という今までと違った視点で、自分たちの使命を改めてThinkし、自分たちにできるActionを今までと異なった方法でチャレンジしたということです。
「会話」はPriceless。
そして、会話は心意気させあれば今すぐ誰でもできますね。
今日から日常の視点を少し変え、自分の身の回りの高齢者の方々と何気ない挨拶やちょっとした会話をしてみよう!
well-being!
https://www.ageuk.org.uk/discover/2020/02/loneliness-meets-its-match-in-manchester/