厚生労働省と日本能率協会総合研究所が主催する、介護現場の生産性向上に関する全国セミナーが、静岡県(10/8)をかわきりに始まりました。
本セミナーの講演・ワークショップのデザイン及び運営はTRAPEが担当しています。
改善活動を進めようとすると、「人手不足・人間関係・情報共有・教育」などをよく耳にするのではないでしょうか。
しかし、これらの言葉は表層の課題に過ぎず、さらに深堀っていくことが必要です。
改善活動を始めても、一度で大きな変革が起こるとは限りません。
地道に現場と向き合い、泥臭く改善活動を進めていくことが大切となります。
介護現場で”生産性向上”という言葉を聞くと、どのような印象をお持ちになりますか?
・介護ロボット?
・ICT?
・コスト削減?
・人員の削減?
一般的には、このような印象を持たれるのではないではないかと思います。
現場サイドからすれば、「また、大変になる…」という気持ちになるのではないでしょうか。
しかし、”生産性向上活動”を通して、“利用者さんへ、より良いケアを提供することができる”ことが、真の意義なのです。
そのためには、職員自身が働きがいを感じ、自分の力で改善活動を行える状態にならなければなりません。
今回の全国セミナーでは、改善活動を行える”きっかけ”を、つかんでもらえる内容となっています。
第一部:講演(生産性向上に資するガイドラインを活用した介護現場の業務改善と働きがい向上について)
介護現場を取り巻く社会環境から、なぜ生産性向上・業務改善活動が必要となるのかを説明させてもらい、改善活動に取り組む意義について理解を深めていただきました。
また、昨年、TRAPEが関わり作成した、「生産性向上ガイドライン」の流れに沿って、改善活動のSTEPをお伝えさせてもらい、全体像のイメージを共有しました。
さらに、TRAPEが実際に関らせていただいた事業所様の実例や実際の様子を動画で視聴してもらいながら、生産性向上・業務改善活動の具体的な内容をお伝えさせてもらいました。
第二部:ワークショップ
前半は、経営サイドと現場サイドの2グループに分かれて、他事業所の参加者さんとグループワークを行いました。
経営サイドでは、「生産性向上における経営者の役割」、現場サイドでは、「生産性向上はじめの一歩」をテーマとして、ワークショップを進めさせてもらいました。
最初はワーク内容に戸惑いがある様子でしたが、作業を進めて行くにつれて、課題や悩みを共有されていたり、現場課題がどのように悪影響を及ぼしているのかを、把握することができたのではないかと思います。
後半は、経営サイドと現場サイドで、再び集まり、事業所単位での戦略会議を行い、明日からできる改善活動について議論していただきました。
お互い、ワークショップをされた後で、課題や今後の方針が見えてきたのかもしれません。
経営サイドと現場サイドの熱い対話が交わされていました。
“どのような職場にしていきたいのか”というvisionの達成に向けて、経営サイドと現場サイドで現場の課題を出し合います。
そのために、何をする必要があるのか、さらに明日からできる小さな行動を言語化してもらいました。
小さい行動では、何かが劇的に変化するわけではありません。
しかし、「visionに向かって、小さい行動を積み重ねていく」という事実が、貴重な経験になるのです。
さいごに
現場を改善していくためには、経営サイドと現場サイドが一丸となり、勇気を出して、小さい行動を起こしていくことが大切なのです。
今回のセミナーの内容を同僚と共有することからでも構いません。
セミナーを受講して、決してそのままにせず、改善活動につなげるきっかけとして、有効活用していただきたいと思います。
これから、2021年1月まで全国各地(オンラインも含む)で、セミナーは開催されます。
いくつかの日程では、まだ定員に空きがあり、参加することが可能です。
関心がある方は、ご確認ください。
介護現場の土台を強くするきっかけを皆さんと共有できると幸いです。